Column
Words
2016/11/23

【沢庵】思わじと思うも物を思うなり、思わじとだに思わじやきみ。

イラスト:nihhiイラスト:nihhi

今回は安土桃山時代から江戸時代前期にかけて活躍された、臨済宗のお坊さん、沢庵禅師のことばを選びました。「思いを浮かべるまい、と思った時点で思いになってしまっている。思いを浮かべるまい、とすら思わないことだ」……といったような意味になるでしょうか。

「そうですよね……」と素直にうなずいてしまいそうになる一方で、「それができたら苦労はしない!」という思いもあります。(この思い自体が、すでに「思い」ですしね!)

じゃあいったいどうしたらいいのか? 「気にしなければいい」んです。思いが浮かんできたとしても気にしない。「ああ、思いが浮かんできたな」「以上!」それでいいのだと思います。

「思い」なんて、縁の中でごくごく勝手に湧いてくるものです。「思いを浮かべるまい」という「思い」すら、勝手に湧いてくるのです。それならば、人間にできることは、ただひとつ。「ああ、思いが浮かんできたな」「以上!」……それで終わりにすることだけ。

これを繰り返しているうちに、「思い」を浮かべる主体としての自分ではなく、「思い」の舞台としての「なにものでもない“自分”」、その存在に気づいていく……。そこが、いま流行りの「マインドフルネス」の真髄なのかもしれません。

「ほぼ週刊彼岸寺門前だより」2016年11月20日発行号より転載)