Column
Dialogue
2017/04/24

小笠原和葉さんとの対話/科学とスピリチュアルのはざまから見たいのちの話

「この指の先も、この足の先も、すみずみまでぜんぶカラダだったんだ!」

小出:そうそう。和葉さんご自身のお話ですごく印象的だったのが、アトピーの治療法を模索する中でヨガに出会われてからしばらくして、ある日ご自宅でヨガの最後の「しかばねのポーズ」を取ったときに、「ああ、私はいたんだ!」と全身全霊で実感されたというエピソードで……。

小笠原:そうですね。なんか、あのとき、自分のカラダと和解できた感覚があったんですよね。

小出:カラダと和解、ですか。

小笠原:アトピーって、それによって死ぬことはめったにないけれど、ものすごく大変な病気なんですよ。かゆみ、痛みから、24時間解放されることがないので。私の場合、全身が真っ赤に腫れ上がってしまって、仕事も休職せざるを得なくなって。おしゃれもできないし、海やプールで泳ぐこともできないし、温泉旅行にも行けない。このカラダのせいでできないことがあれもこれもある、この苦しみはぜんぶカラダのせいだ! って思い込んでしまって。

小出:大変でしたね……。

小笠原:だから、とにかくアトピーを治さなきゃなにもはじまらない、みたいになっていたんですよ。治すことが人生の第一ミッションだった。でも、ヨガをはじめて、すこしずつ視野が開けていって。たとえば、ヨガマットを持って歩いているだけでなんだかヘルシーな気分になれたりとかもあったし(笑)、もちろん、ヨガでカラダを動かすこと自体が、すごく意味のあるものだったし。めちゃめちゃカラダを動かすタイプのヨガだったので、その刺激によって、いまここに戻ってこられた、という感覚もあったんですね。

小出:偏りが正された?

小笠原:そうですね。自分で過度に意味づけしていたものとか、過度にフォーカスしていたところがヨガをするたびにニュートラルになっていって、それで、ある瞬間、完全に自分のカラダと和解できた、という感じですかね。

小出:「アトピー患者である自分」「いろんなことが制限されている自分」といったアイデンティティが取り払われて、ひとつの、まっさらな、なにものでもないいのちとしての自分と対面されたのですね……。

小笠原:そう。「カラダは、ただ、カラダだったんだ……」っていう。アトピーだと、カラダを感じる糸口となる感覚が基本的にすべて不快感になってしまうんですよ。その不快感と一体化してしまっていた自分が消えたときに、「この指の先も、この足の先も、すみずみまでぜんぶカラダだったんだ!」という気づきが訪れて。

小出:理屈を超えた実感だったのでしょうね。

小笠原:それをきっかけに、アトピーは急激に改善されていきましたね。

健やかに生きていくために、ボディーワークは必須教養

小出:その経験を通して、和葉さんは、まさしく「心身一如」ということばの意味を体感されたのですね。

小笠原:ほんとうに。「心身一如」って事実なんですよ。私みたいにヨガで変わる人もたくさんいるし、あとはダンスとか、山登りとか、あるいは農作業でカラダを動かすことによって変わっていった人もたくさん知っています。現代人ってアタマばっかり使って生きているけれど、それだとどうしても行き詰ってしまうところがあって。カラダを動かして感覚を開いていくことで、劇的な変化が見られることって、ほんとうにたくさんあるんですよ。

小出:「感じる」は、いまここへの入り口ですものね。

小笠原:その入り口を閉ざしているのはやっぱり健全じゃないので。逆に言えば、そこが開かれていけば、カラダもココロも健康になっていくんですよね。

小出:カラダからのアプローチを必要としている人って、実はものすごくたくさんいるんじゃないかな。

小笠原:そうなんですよ。もう、そういうのがなくては立ち行かなくなるぐらい、複雑な社会になってきてしまっているので。私、最近、2030年までの日本と世界の状況をシュミレーションするサイトを見ながらいろいろ考えたんですね。ご覧になったことありますか? すさまじいんですよ。まず、2020年にはうつ病が世界で罹患率2位の病気になるし、2030年には1位になるんですね。

小出:うわあ……。

小笠原:高齢化は加速する一方で、2007年に日本に生まれた子どもは、2人に1人が100歳越えするんですって。あっという間に平均寿命が100歳を超えてしまう。医療が発達して、どんな病気も治ってしまう時代が来ているので。でも、いくらカラダが長生きしても、ココロが病んでいたら……

小出:生き地獄ですね……。

小笠原:だから、苦しまないで生きていくために、自分が本来持っているレギュレーションの力がちゃんとはたらくように、カラダとココロをととのえていく必要があるんですね。そのときに、いま、私がやっているボディーワークの領域が果たすべき役割は、想像以上に大きいんじゃないかな、って。

小出:ほんとうに、すごく大きいと思います。ボディーワークが伝えてくれる知恵は、これからの人類が必須教養として身につけるべきものと言ってもいいかもしれない。

ボディーワークの総合紹介サイトを作ります

小出:ほんとうは、みんな、ただ、いのちを生きていくだけでいいんですけれど、そのための知恵が、現在、多くの人に適切に与えられていないような状況があるんですよね。

小笠原:そうそう。ボディーワークってほんとうにすごい力を持っているし、世間のニーズも高まっていると思うんですけれど、いかんせんボディーワーカーって技能の髙い職人みたいな人ばっかりなので、なかなか外に広めよう、という方向にいかないんですよ(笑)。でも、世の中にはそれを求めている人たちがたくさんいて、こちら側は高い技術を持っているんだけれど、いかんせん情報が出回っていないから、そこをマッチングできない。それってすごくもったいないな、って。

小出:確かに、ボディーワークという分野があるということ自体、あまり世の中には知られていませんものね。

小笠原:そうなんですよ。でも、セッションルームに来なくても、こんなのがあるよって、ボディーワークという概念を知っただけで助けになる人って、いまの世の中には相当いると思うので。私はそこに橋をかけたいんですよね。だから、ボディーワークの総合紹介を含め、自分にとって健康ってなんだろうというところから考え、「自分に必要な情報を選ぶ」力を育てるということについて啓蒙していくサイトを作ろうと、いま、準備をしているところなんです。

小出:素晴らしいですね! いつ頃始動しそうですか?

小笠原:今年の夏ぐらいですかね……。

小出:もうすぐですね!

小笠原:ねえ。優秀なスタッフが集まってくれて、とんとん拍子で話が進んでしまって……。大変だろうけれど、やるしかないですね。なんか、そういう風に運ばれていってしまったので。

小出:今日お話をおうかがいしていてあらためて思ったのですが、和葉さんのバランス感覚は、やっぱり、ほかに類を見ないほどのものだなあ、と。その優れたバランス感覚があって、はじめて、私たち一般の人と、ボディーワークとの間の橋渡しができるのだと思います。応援します。どうかがんばってくださいね! 今日はいろいろと興味深いお話をありがとうございました。

小笠原:こちらこそ、ありがとうございました。

小笠原和葉(おがさわら・かずは)

ボディーワーカー/意識・感情システム研究家。
東海大学大学院理学研究科宇宙物理学専攻課程修了。
学生時代から悩まされていたアトピーをヨガで克服したことをきっかけに、ココロとカラダの研究をはじめ、エンジニアからボディーワーカーに転身。施術と並行して意識やカラダを含んだその人の全体性を、一つのシステムとして捉え解決するメソッド「プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド(PBM)®」を構築。海外からも受講者が訪れる人気講座となっている。
著書に『理系ボディーワーカーが教える“安心” システム感情片付け術』(日貿出版=刊)がある。

http://pbm-institute.jp

※この対話記事をベースとして、6月5日(月)の夜に「Temple@髙願寺」というイベントを開催いたします。小笠原和葉さんご本人もゲストとしてご登場くださいます。ふるってご参加くださいませ。くわしくは当サイトEventページをご参照ください。

※「まいてら新聞」【小笠原和葉さん(ボディーワーカー)の“いのち”観】 – 「生」と「死」の境目はごくごくあいまいなもの – も、どうかあわせておたのしみください。