木々の葉の色も日ごとに深みを増していきますね。ということで、今回は上記の良寛禅師のことばを選んでみました。
「自然のはたらきに沿って生きていれば、焚くのに必要なだけの落葉はちゃんと与えられるものだ。(だから特別になにかを為そうと焦らなくても、ゆったりと構えておけば良い。)」といったような意味になるでしょうか……。こだわりのない良寛さんの心境が伝わってくるような、とても爽やかな歌ですね。
私たちは、どうしても、山川草木や雨や風など、人間の外側にあるものだけを「自然(nature)」だと考えてしまいがちですが、大きな目(仏さまの目と言ってもいいかもしれません)でとらえてみれば、人間だって、立派に、「自然のはたらき」の一部、なのですよね。
ほんとうはいつだってあたたかな仏さまの慈愛・はたらきの中にあるのに、そのことを知らずに、ありとあらゆる事物を集めて囲って自分のものにしようとあくせく働き続けて……そうしてさらに不安や恐れを増幅させているのが、私も含めた、多くの人々の姿なのかもしれません。
「本来無一物」という禅語もあります。私たちは、ありのまま、自然そのものとしての自分の姿を、もっと信頼してみても良いのかもしれませんね。そうしたら、きっと、良寛さんのように、「世界」への圧倒的な信頼感の中で、ゆったりと、おおらかに生きてくことができるのでしょう。
枯葉舞い散る晩秋の風の中で、しみじみ思い出したい歌だなあ、と思います。
(「ほぼ週刊彼岸寺門前だより」2015年11月1日発行号より転載)